蒼の氷 プロローグ



彼は1人佇んでいた。昼下がりの赤く染まった小高い丘の上で。
その目は、足元に転がるイキモノだったモノタチに侮蔑の視線を向け、
鮮血に染まった……いや、厳密に言えば、元々赤色の毛色なので染まったとは言いがたいが……己の顔を拭おうともしない。
その口の端は、笑みの形に歪み……
そして、血が滴り落ちている抜き身の剣を鋭く振り、血を飛ばすと鞘にしまう。
翼を広げ、空に飛び立つ赤い彼……

後にはただ、イキモノだったモノタチ……いや、イキモノだった痕跡すら残さない肉片が丘の上に飛び散っているだけだった。

グルト=ファルヴェイズ
飛び去った者の名は、見るものが見れば分かるだろう……
しかし、民の前では寡黙で、しかし表情多彩な良い時期領主を演じて居る彼がこんな事をするとは誰も思わないだろう。
だが、家族や私兵達は知っていた。
その表情の裏に隠されている冷酷で、時には残虐性を持つ事もある表情を。

これは、そんな彼が中心となって繰り広げる物語……


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